NUINUI FACTORY
ぬいぐるみを
作る工場です。
どこにでも行く工場なので、
みなさんのお誘いをお待ちしています。
ABOUTぬいふぁくってなあに?

ぬいぬいふぁくとりーは、ぬいぐるみを作る工場です。全国各地でぬいぐるみ作りのワークショップを開催しています。出店するのは、地域のお祭り、街のマルシェ、手作り市、公共イベントなど。

  1. 1ぬいのもとを作る大人たちが集まって、おしゃべりしながらチクチクとぬいぐるみのボディを作っておきます。
  2. 2イベントでデコる当日は、参加者が目やリボンやビーズを付けて、自由にデコレーションします。
  3. 3連れて帰るできあがったぬいは、その日のうちにおうちへ。同じ顔のぬいは、ひとつもありません。

ぬいのもとを作っている時間。何時に来て、何を食べたっていい。大人なので。

SCHEDULEこれから行く場所

ほかに出店の予定はありません。ぬいふぁくはどこにでも行く工場なので、お誘いはInstagramのDMまで、ぜひお気軽に。

NUI生まれたぬいたち

イベントのたびに、見たこともない生きものが生まれます。ひとつとして同じ子はいません。

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MEMBERふぁくとりーめんばー

ぬいぬいふぁくとりーで顔を合わせた人は、みんな友達です。

ZINEぬいふぁくの本

ぬいぐるみ愛、にんげん愛。工場長と助手へのインタビュー、日記エッセイ、ぬいたちのプロフィール帳。第二弾を制作中です。

COMING SOONオンラインショップを準備しています。
ZINEFESTなどのイベントでもお会いしましょう。
ARCHIVESこれまでの出店記録
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RESEARCHぬいぐるみ研究

工場には、研究開発部があります。ぬいぐるみを作っていると、ときどき手が止まって考えてしまうことがあります。これはいったい何なのだろう、と。以下は、その疑問を調べた記録です。

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01

ぬいぐるみは、いつ生まれたのか

ぬいぐるみの起源は、いまも一つに定まっていません。1902年、大西洋をはさんだ二つの場所で、ほとんど同時に別々に生まれたからです。

アメリカ側の話はこうです。1902年の秋、第26代大統領セオドア・ルーズベルトがクマ狩りに出かけ、弱ったクマを撃つことを拒みました。この逸話を新聞記者クリフォード・ベリーマンが風刺画にしてワシントン・ポスト紙に載せ、それを見たロシア移民のモリス・ミットムがクマのぬいぐるみを作り、大統領の愛称から「テディ」と名づけます。アイデアル社は、アメリカ国内初のテディベア・メーカーとされています。

いっぽうドイツでは、同じ1902年、シュタイフ社がこの逸話とはまったく無関係にクマのぬいぐるみを製造していました。1903年3月のライプツィヒ・トイフェアに出展し、1904年のセントルイス万国博覧会でグランプリを受賞しています。

どちらが最初かは、決着していません。ぬいぐるみは、誰か一人が発明したものではないようです。

日本語の「ぬいぐるみ」
語としては「縫い包み」。綿やパッキングを芯にして、外側から布を縫い合わせてつくった人形玩具を指します。
日本での祖形
平安〜室町の幼児向けの祓物「這子(ほうこ)」にさかのぼるとされます。江戸時代には雛祭の飾りや、家庭での手作り玩具として普及しました。
近代
明治以降に欧米風の様式が流入し、大正末期から「手芸」として流行。戦後は化学繊維の製品が主流になり、やがて成人向けのアクセサリーへと広がっていきます。

つまり、大人が集まって布を縫い、ぬいぐるみを作るという行為は、100年ほど前に日本で一度流行ったことのある手芸の、続きです。

02

なぜ、大人がぬいぐるみを持っていていいのか

1953年、イギリスの小児科医で精神分析家のドナルド・W・ウィニコットが「移行対象(Transitional Object)」という概念を発表しました。乳幼児が特別な愛着を寄せる、毛布やタオルやぬいぐるみのこと。自分ではない、最初の所有物です。

ウィニコットによれば、移行対象は、心の中の空想と、外にある現実の、どちらでもない「中間領域」に置かれます。生後6か月から1歳ごろに現れ、それを触ったり口にくわえたりすることで、子どもは安心を得ます。

では、大人になってからも持っているのは、例外なのでしょうか。日本の大学生411名を対象にした調査があります。

  • 63%移行対象をもった経験がある
  • 41%そのうち、青年期以降も持ち続けている
  • 6-7歳手放す年齢の平均
  • 21%14歳時点で保持(女子。男子は13%)

3人に2人が経験し、そのうち4割が大人になっても手放していない。統計としては、めずらしいことではありません。

03

なぜ、不揃いなほどかわいいのか

ぬいふぁくで生まれるぬいは、左右が揃っていません。縫い目は不規則で、パーツの位置も自由です。それでも、ほぼ確実にかわいくなります。理由は、たぶん二つあります。

ひとつはベビースキーマ(幼児図式)。1943年に動物行動学者コンラート・ローレンツが提唱した、人が「かわいい」と感じる形の条件です。

条件 1
体に比して頭が大きい
条件 2
顔面より脳頭蓋が大きい
条件 3
目が大きくて丸い
条件 4
目鼻口が、頭全体に対して低い位置にある
条件 5
四肢が短い

もうひとつはシミュラクラ現象。3つの点が逆三角形に並ぶと、脳がそれを顔として認識してしまう働きのことです。人や動物の目と口が逆三角に配置されているため、同じ配置を見ると顔だと判断してしまう、と説明されます。

FIG. 1この3点だけで、脳は顔として認識します。丸2つと線1本。ワークショップで最初にやってもらうのは、これです。

参加者がやっているのは、この条件を満たすことだけです。目を、大きく、二つ、上のほうに。それさえ済めば、布の塊は生きものになります。あとは何をしても、かわいくなります。だから、不揃いでいいのです。

  • 高円寺フェス で生まれたぬい
  • 干支ぬい作ろう で生まれたぬい
  • くさつ桜まつり で生まれたぬい
FIG. 2いずれも条件3と条件4を満たしています。それ以外は、作った人の自由です。
04

で、この工場は何をしているのか

ウィニコットの理論で大事なのは、移行対象は与えられるものではなく、子どもが自分で見つけるものだという点です。親が「これを大事にしなさい」と渡したものは、たいてい移行対象になりません。

ぬいぬいふぁくとりーがやっているのは、ぬいぐるみを配ることではありません。誰かが、自分のぬいを見つける場所を用意することです。ぬいのもと(ボディ)まではこちらで作っておいて、最後の顔だけは本人に決めてもらう。おそらく、そのためです。

2年間で497体が生まれました。497回、それが起きたということになります。

ぬいぐるみ愛、にんげん愛、いつかどこかで誰かに寄り添うように。
― 取締役CEO 兼 ぬい価値向上本部長より

REFERENCES

  1. Winnicott, D. W. (1953). Transitional Objects and Transitional Phenomena. International Journal of Psychoanalysis, 34, 89–97.
  2. Lorenz, K. (1943).「可能な経験の生得的形態」(ベビースキーマの初出)
  3. 東京国際大学大学院臨床心理学研究科『臨床心理学研究』第14号「青年期以降の移行対象」2016年(大学生411名を対象とした調査)
  4. 「縫いぐるみ」『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館
  5. 「テディベア」『ウィキペディア日本語版』
  6. 「シミュラクラ現象」『ウィキペディア日本語版』
  7. 「かわいさ」『ウィキペディア日本語版』

本稿は査読を受けていません。事実関係の誤りを見つけた方は、Instagramまでご一報ください。
ぬいぬいふぁくとりー 研究開発部